ホーチミンから南に約50km、そこにはアジアで最も大きなマングローブの森があります。
その名もカンザー国立公園。
マングローブやその他の珍しい種により形成されているこの湿地帯はユネスコの生物圏保護区にも登録されています。
このカンザーですか、ベトナム人にも外国人観光客にも密かに人気の観光地。
アミューズメント性は高くありませんが、ベトナムの自然を十分に味わうことができる場所です。
今回はそんなアジア最大のマングローブの森に現地ツアーに参加して訪れてみました。
ここでは内容盛りだくさんのそのツアーについて詳しく紹介していこうと思います。
カンザー国立公園ってどんな場所?
地図をご覧いただくと分かる通り、カンザーはホーチミンの南に位置する国立公園(自然保護区)です。
この緑色の部分全てが公園だと思うととてつもない敷地面積ですよね。
実際に行ってみて感じましたが、確かに辺りは完全に緑で覆われています。
そして公園全体の約40%の敷地にマングローブが生息しているというのですから驚きです。
このエリアには基本的に大きな建物は無く、小さな街が船着き場付近にある程度です。
ゆえに「ベトナムで自然を感じながら観光したい」「広大なマングローブの森を見てみたい」「のんびりとしたローカルなベトナムの空気を感じたい」という方にはおすすめです。
また このマングローブの森ですが、ベトナム戦争時代にベトコンキャンプの拠点だった場所としても知られています。
森の奥にある観光スポットには基地の跡が残されており、その当時のキャンプの様子が忠実に再現されておりそちらも見もの。
歴史に興味のある方にも是非訪れて欲しい場所です。
因みにこの公園ですが ベトナム人からは一応リゾート地としても認知されている場所で、公園の中にはヴィラやプールなどが備わった宿泊施設もあります。
熱気に溢れるホーチミンの街中とは対照的に、静かでのんびりとした空気に まるでどこかのリゾートアイランドに来たかのような気分になることができます。
そちらに関しては後ほど紹介していきます。
現地でのツアー申し込みに関して
(ベンタイン市場付近にあるツアーデスク)
さて、今回は下調べ等せずに飛び込みで現地のツアーデスクに入り申し込みをしてきました。
ホーチミンの繁華街、ベンタイン市場周辺やブイビエン通り付近にはツアーデスクがかなりたくさんあります。
正直どこも同じようなツアー内容と料金ですので、とりあえず滞在先のホテルの近くにある所に入ってみれば良いと思います。
私はベンタイン市場のすぐ目の前にあるツアーデスクでツアー前日に予約をしました。
料金は650,000 VND(約3120円)です。
SIMカードをここで買ったので240円程安くしてもらうことができました。
料金を支払ったら、領収書をもらいます。
この時、ホテルの名前(場合によっては部屋番号も)を聞かれますので受付の人に伝えましょう。
そして次に集合時間を指定されますのでその時間を覚えておいて下さい。
基本的には朝、ホテルまで送迎に来てくれますので指定時間にホテルのロビーで待機するだけでOKです。
特に難しいことはありませんので身構える必要はありません。
こちらが今回のツアーの内容です。
8:00 ブイビエン周辺でバス乗車・出発
9:15 カンザー入島
10:00 野生の猿と触れ合い
11:00 シーフードマーケット
11:50 ランチ・リゾート地で休憩
14:00 マングローブ林ボートツアー
15:30 カンザー出発
17:00 ホーチミン市内到着・解散
ツアー全体で約9時間もあるので、1日しっかりと楽しむことができます。
これで3000円ちょっとですので安いですよね。
内容は充実してますが、忙しすぎずゆったりできるのも良い所です。
ツアーに参加
集合~出発まで
さて、当日は7時40分にホテルにピックアップが来るとのことなので待っていましたが時間通りには来ず。
8時頃になりようやく1人の女性が迎えにやってきました。
そしてビックリ!
なんとバイク送迎というこれまたベトナムらしいもてなし方です。笑
多分1人参加だったからだと思います。
まあ、こんなのも面白くて好きですけどね。
ここから5分くらいかけて、バックパッカーが多くあるブイビエン通り周辺に向かいます。
今回のツアーのバスはこちら。
約40人乗りのバスで参加者は30人ほど。
1人で参加しているのは私だけです(もう慣れました)。
参加者は国際色豊かで韓国人・ドイツ人・ブラジル人など、家族で旅行に来て参加している方が多いようでした。
ツアーには添乗員が1人付いていて、このキャップをかぶった若いベトナム人のお兄さんが案内してくれます。
バスに乗ったらそこから約1時間ほどでカンザーの入り口となる船着き場に到着です。
船着き場~カンザー入島
(船着き場)
カンザーは島になっているので船でしか入島することができません。
船は車やバイクを積んでカンザーまで行くのですが、バスの乗客は安全の為なのか一度降りて船に乗らなくてはいけません。
ということで船着き場に着いたら一旦バスを降りて、待合スペースで出航を待ちます。
物凄い数のバイクや車が並んで船に乗る順番を待っています。排気ガスが…やばいです。
15分程待ったのち、船に乗りこんでゆきます。
乗船から10分で島に到着です。
う~ん。これは個人で来るのはちょっと難しそうですね。ツアーが無難です。
さぁ、ようやくカンザーに入りました。
どんな景色がみられるのでしょうか。とても楽しみです。
船を降りたらもう一度バスに乗り、更にカンザーの中心部まで移動して行きます。
奥へ進んでいくと建物はほとんど無くなり、辺り一帯は自然のみに囲まれた風景へと変わってゆきます。
ホーチミンのすぐ側にこんな広大なジャングルがあったとは全く知りませんでした。
野生のサルと触れ合い
40分程バスで移動した後、1つ目の目的地に到着しました。
ここには多くの野生の猿が生息しており、彼らに餌やりの体験をすることができます。
少し歩くとちらほらと猿が現れ始めます。
性格は割とおとなしめですが、中には凶暴な猿もいるそうなので気を付けた方がいいとのこと。
ただ、寄ってくる猿は比較的人懐っこいのが多いので大丈夫です。
エサ目当てにどんどん寄ってきます。
余談ですが、サルは歯を見せる行為はNGらしいです。
ついついニコッとしてしまいたいところですが、サルにとっては攻撃の合図に捉えられるとのことなので気を付けましょう。
また、眼鏡・ペットボトル・カメラ・スマホなどの人間の物を盗んでいく猿もいますので注意が必要です。
まずは添乗員さんがエサのやり方を説明してくれます。
意地悪せずにすぐに与えるのが正解とのことです。
噛まれたりしたら嫌ですからね…(狂犬病の心配もあるので)。
落花生を貰えるので実際に与えてみると、人間みたいに指で掴んで取っていきます。
小さいこどもの猿もいてとても可愛いです。
それにしても凄い数です。しまいには足を掴んで登ってきたりしますのでお気をつけを。
道を少し進むと小さいワニ園があり、そちらも見学することができます。
約45分ほど猿と遊んだり辺りを散策したりして時間を過ごします。
バスに戻るとおしぼりが配られますが、嬉しい気遣いです。
なぜなら私の足は土だらけだからです。笑
白い服は避けた方が良いでしょうね。
シーフードマーケットで新鮮な魚介を楽しむ
猿との戯れも終わり、次に向かう場所はシーフードマーケット。
先ほどの場所から約10分くらいの移動です。
付くとすぐにサトウキビジュースが無料で提供されます。
冷たくて爽やかで美味しい!
さて、ここの市場ではとても新鮮な魚介類を楽しむことができます。
値段もお手頃なので絶対に何か購入して楽しむべき場所です。
とはいってもこの後すぐにランチになるので、軽めに食べて楽しむ程度が良いかと思います。
貝・魚・イカ・エビなどの超新鮮な魚介がたくさん。
どれも今日揚がったばかりのものでしょう。
そうそう、目的はコレなんですよね。
どれも本当に美味しそうです。辺り一面は良い匂いで包まれています。
指差しで注文すると、このように炭火で炙って調理してくれます。
今回は私が好きな牡蠣を注文することに。
ベトナムで牡蠣を食べるのは初めてなので楽しみです。
ネギのせ炙り牡蠣:50,000 VND(約240円)
この値段、信じられます?
たったの240円ほどで食べられるんですよ?正直いって食い倒れしたいくらいです。
貝類はほとんど同じ値段で食べることができるのでとってもお得。
肝心の味ですがこれまた最高に美味しくて、文句なし。
単体でも十分の美味しさですが、カボスで風味を変えても美味しいです。
マンゴー盛り:20,000 VND(約96円)
食後にデザートのマンゴーを食します。
甘くて少し酸味があって新鮮。
もうここ本当に最高過ぎてランチのことを忘れて暴食しそうになるくらいでした。
値段も安くて色々楽しめて大大大満足です。
また個人的に来たいと思うくらい良い場所でした。
おこぼれ待ちの猫さん。そんなに可愛い顔で見つめないでね。汗
ランチ
シーフードマーケットを後にして、バスで少し移動したらランチの時間です。
カンザーリゾートの一角にあるレストランでベトナム料理を楽しみます。
ランチの内容はそれほど良いという訳ではありませんが、並みという感じでしょうか。
鍋料理に豚肉の煮込みやら卵焼き?などなど…。
量はそこそこあるので足らないことはないと思います。
他の参加者と同席して一緒にランチ休憩となります。
カナダから来た夫婦、韓国人のお兄さん達が1人で参加している私を気遣って話しかけてくれました。
ツアーはあまり好まない私ですが、こういう出会いがあるとツアーも悪くないかもなって思います。
カンザーリゾートで休憩
食事の後は同敷地内のリゾートで1時間弱の休憩時間が与えられます。
この間は自由時間なので好きなように過ごすことができます。
ここのリゾート、とても静かでのんびりとしていて凄く良かったです。
何があるわけでもないですが、海辺を歩いたりプールに入ったりサンデッキで寛いだりとリラックスして過ごすことができます。
こちらは宿泊用のヴィラ、1軒ずつ建っていて雰囲気も良さそうなので一度泊まってみたいですね。
こんな綺麗なプールもあって、ツアー参加者であれば利用することが可能です。
水着を持って行くといいですね。シャワーもあるのでご安心下さい。
さて、海辺は潮が引いており見渡す限り干潟になっています。素晴らしい景色ですね。
奥にあるのは海上レストランか何かでしょうか?とても不思議な光景です。
下に降りて砂浜を歩いてみることに。
ホーチミンの街からたったの数時間でこんなにも静かでのんびりとした場所があるんですね。
ローカルな場所が好きな私にとって、この場所は結構お気に入りです。
海辺にはとてつもないほどの貝殻が落ちています。
こんな綺麗な柄の貝殻も発見。
海岸ってまれに面白い発見があったりするから楽しいですよね。
辺りを散策したり、寝転がったりして過ごしていたらあっという間に1時間が過ぎてしまいました。
このリゾート とにかく静かでリラックスできるので、都会の喧騒から離れたい方にはピッタリなのではないでしょうか?
ホーチミン滞在のついでに、こちらで数泊滞在なんてプランも良いなぁ~なんて思いました。
マングローブ林スピードボートツアー
休憩時間が終わったらバスに乗って約15分、最初のモンキーアイランドに再度訪れます。
ここではスピードボートに乗って、マングローブの林の中に流れる小さい水路を走るアクティビティを楽しむことができます。
このスピードボートがとにかくスリリングで楽しいです。
細くて狭いマングローブの林をなかなかのスピードでターンを繰り返しながら突き抜けていきます。
見渡せば右も左もマングローブ、本当にこれがベトナム?と思ってしまうような光景です。
ボートは約10分程進み、ベトコンキャンプに到着。
こちらはベトナム戦争時に利用されていた拠点を観光客向けに展示した跡地です。
辺りにはこういった人形が設置されており、当時の様子や状況を視覚的に学べるようになっています。
こんなジャングルの奥深くに潜みながら戦っていたのかと思うと考えさせられるものがあります。
北ベトナム軍はこのマングローブで覆われた環境を利用して迫りくる南ベトナム軍を苦戦させました。
しかし、後にそれが枯葉剤散布という悲劇をもたらしてしまいます。
今でこそマングローブの森は再生していますが、一時は薬品の影響で大部分が死んだ土地と化してしまいました。
戦争という物はあらゆる物を破壊する行為。そして大量の命も奪います。
2度とこんな悲しい出来事は起こってほしくないですね。
みなさんは、カンザーに行く前に少しでもいいのでベトナム戦争のことを調べておくと良いですよ。
歴史を学んでから行くと、この観光も大変意味のあるものとなるのではないかと思います。
(キャンプ跡地の中央に佇む慰霊碑)
こちらでの滞在時間は約30分。少しだけ足早に見学して帰路につきます。
スピードボートでモンキーアイランドへ戻り、そこからバスに乗り船着き場へ。
船に乗りもう一度バスに乗ったら、ホーチミン市内まで帰っていきます。
市内には17時ごろに着き、ブイビエン通りで解散となります。
さいごに
今回はカンザー国立公園への現地ツアーの内容について紹介していきました。
約3000円でこれだけ充実した内容であれば行く価値は十分あると思います。
どちらかと言うと自然がテーマになってくるので、リフレッシュしながらのんびり観光したいという人には本当にオススメです。
自然・食・歴史・動物などカンザー観光はとても面白味があります。
ホーチミン観光は行くところがだいぶ限られますが、気軽に行けてしっかり楽しめるカンザーは是非一度は訪れておきたい観光地であることには間違いないでしょう。